小檜山貴裕写真ワークショップ
□シノゴ4×5とカラープリント篇□
写真の原点に立ち返る体験ワークショップ (全二回を定期開催)最大3人まで。1人でも開催
参加費2万円 機材は貸し出し、感材費込みの金額です。
内容
どちらも敷居が高いとされる大判カメラ(4×5)での撮影、および暗室カラープリントの一連の写真行為を体験していただきます。残しておきたいと感じているモノ、ヒト、コト、それらにたった一枚のフィルムしか残されていない状況で向き合い、撮影をしていただきます。現像の後、暗室にて丁寧に一枚のプリントに仕上げます。最後にブックマットに設置して完了となります。参加は最大3人と少人数ですので、未経験者に丁寧な指導とアドバイスをさせていただきます。
一日目
写真があと一枚だけしか撮れないと仮定して、その状況で何が撮りたい?をスタートラインにします。出席者にはあらかじめ撮りたいもの、被写体について考えてきていただき、はじめにそれぞれの被写体への想いを発表していただきます。
次に大判カメラの基本的な構造、使い方について説明いたします。一枚しか撮れないため、場所、構図、光のイメージなどを皆で話し合いながら決めていきます。三脚に据えたシノゴカメラで、露出、ピントという基本的動作の確認をしながら丁寧に一枚だけポジフィルムで撮影をします。
ここで一日目は終了となります。
二日目までにこちらで
・ポジの現像
・カラープリント用のネガの作成をいたします。
二日目
はじめに皆でライトボックスとルーペで現像されたフィルムを見ていきます。ライトボックス上で見るポジフィルムは本当に綺麗です。是非存分に体感していただきたいと思います。
そこから暗室に移動してカラープリントの説明をいたします。4×5の引き伸ばし機は一台であるため、ひとりずつ作業を進めて行きます。ご自分の順番までは見学となりますが、カラープリントが出来上がっていく行程を見る事は未経験者には多いに意味のある事と思います。時間のゆるす限り責任をもって参加者が納得する所までプリントを追い込むおつきあいをするつもりです。
ワークショップ開催にあたって
『写真初期感触から継続的意志へ』
僕は大学、大学院とデザイン学科に在籍していた。修士課程に進んだものの、デザインではやっていけないだろうとぼんやりと思っていた。あるとき助手だった市川先生がspeedgraphicという1939年製の大判カメラを貸してくれた。ただの箱みたいなこのカメラで写真が撮れたら痛快だなと僕は思った。さっそくテスト撮影をしようと住んでいたアパートの廊下で三脚の上にカメラを据えてみる。操作に不慣れでピントガラス越しに映る光景にただただ酔う。顔を上げて前を見ると洗濯機の前で今は別れてしまった妻がスーパーマーケットのチラシを見ている。僕はフィルムホルダーをカメラに差し込んでシャツターを切った。そのたった一枚の撮影済フィルムを持って堀内カラー現像所にスーパーカブで向かった。ポジは一時間くらいで現像してもらえる。
出来上がったフィルム像を見たときの快感といえる感覚をいまでも忘れてない。忘れられないと云ったほうがいいのか。なんだか笑ってしまうのを堪えていたことも憶えている。このざわざわするような感触が今でも写真をぼちぼちと続けている理由の一つと思っている。やめられない理由とも云える。だからこっちの世界に来るのはイヤだと思っている人はこのワークショップには来ない方がいいかもしれない。